「浜松産業歴史未来館」ってあっていい!

鈴木建也(すずきたつや)

2010年02月02日 21:48

 高塚のスズキ本社前にある「スズキ歴史館」に行ってきました。1909年に創業し、1920年に織機メーカーとして設立されたスズキの”ものづくり”への情熱と製品、クルマづくりの様子が展示されています。

 写真の様な布を自動的に織る織機は、当初は輸入品に頼っていたが、1900年代初頭には国産品が作られるようになり、繊維産業を普及させました。特に遠州地方にはこうした織機製造メーカーが多数設立され、この地域の”ものづくりの原点”となったのです。繊維は生活必需品ですから、戦争によってヨーロッパからの貿易が途絶えた東南アジアへ、織機の輸出が始まったそう。だから、スズキはオートバイやクルマの生産拠点を、インドやタイなどにいち早く進出出来たわけです。謎が一つ解けました!

 パワーフリー号は、自転車にエンジンを載せたオートバイの原型。ホンダも同様のものを作っています。遠州の空っ風に負けないように、動力を付加したと解説がありましたが、そうでなくても長距離や荷物を載せて走るにはこうしたアシスト自転車は需要があったのでしょう。そして、オートバイ、クルマへと引き継がれていくのです。すごいですね!

 スズキのクルマの第一号車がスズライト。まさに、軽自動車のスズキの原点です。織機は何十年と機械の寿命があるため、一度買ったらなかなか次に買ってはくれない。また、経済の発達とともに商用車、特に軽トラの需要があると見込んだスズキの目利きはさすがです。普通車やトラックに行かずに、その次の市場を狙ったのもいかにもスズキらしいですね。

 管内には、開発や生産現場を再現したゾーンもあり、デザインワークや組み立てロボットなどは、子どもたちもワクワクするところ。「へぇー、クルマってこうやって作るんだ!」を分かりやすく説明しているので、クルマの仕事につきたいと夢をいだかせる場所にもなっているのが良いですね。こうした歴史と未来を体験できる場は、楽器など他の地場産業でもあるべきでは!

 楽器産業と同じく、明治維新後の西洋文化・産業を吸収するために、国産品をつくることから始まった織機産業。浜松・遠州のやらまいか精神の原点をまたひとつ確認しました。スズキって凄いと再確認もしました。鈴木のスズキです。私も少し誇らしくなりました。映像や展示にも工夫があって、家族でも楽しめる場所です。是非、訪ねてみてください。www.suzuki-rekishikan.jp

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