2009年12月20日
エッセイ「ほんとうの音楽の街ができるか。」
浜松百撰2006年5月号掲載

※このエッセイがきっかけとなって、やらフェス開催のための実行委員会活動がスタートしました。
浜松市は平成19年4月に全国16番目の政令指定都市となる。多くの財源と権限を県から引継ぎ、自主独立性の高い大都市の仲間入りをするわけだ。人口は約82万人で全国15位、面積は全国2位、製造業出荷額全国 位、農業生産額全国 位、温暖な気候で東海道の要所のひとつとして地理的にも恵まれ、交通網も発達した全国屈指の大都市である。
だからこれからも浜松市の未来は明るい、と言ってしまいたくなる。がそうでもない。中心市街地の衰退、工業生産拠点の海外流出、都市間競争の激化など、都市としての魅力や存在意義、ブランドが問われ始めている。浜松市は非県庁所在地で、テレビ、新聞社の本社も無く、プロ野球、Jリーグのチームも所有しない、全国的にはネットワークから外れた、知名度の低い一地方都市にすぎない。“顔の見えない大都市”が現在の浜松市の姿なのだ。これでは人もモノも金も集まらない活力の無い都市になってしまう。早急に浜松市の魅力ある顔づくりが必要とされているのだ。
●キャッチフレーズだけじゃあダメ。
楽器製造を地場産業とする浜松市は、「楽器の街から音楽の街へ」
を合言葉に、大規模な音楽施設の整備や音楽事業を開催してきた。その象徴がアクトシティ浜松であり浜松国際ピアノコンクールだったりする。では、それによって浜松市は本当の意味で“音楽の街”になったのであろうか。そもそも音楽の街というものには尺度が無い。音楽聴取者数、演奏家数、ホール数、コンサート数は東京の方が圧倒的に上だ。「音楽の街浜松」はあくまでもキャッチフレーズとして存在するだけで、浜松市民はもちろん日本国民が「浜松と言えば音楽」と実感し認めているわけではない。それは、永年浜松市が“文化不毛の地”と言われ続けて来たことが証明している。全国区で多くの人が知り得る著名な音楽家やアーティストの輩出、大規模音楽イベントの開催、それを支えるライブハウスや楽器店、行政、企業、市民の結集が見られないのだ。年に1度でも全国から浜松に音楽好きが大挙して集まり、街じゅうが音楽で溢れ、多くの浜松市民が音楽の素晴らしさ実感でき、音楽によってこの街を誇りに思えるような、そんな“音楽の何か”が足りないのだ。
●63万人集まる定禅寺ストリートジャズフェス
仙台市で毎年9月に開催される「定禅寺ストリートジャスフェスティバル」は昨年第15回目が開催され、街の中心街に80ものステージが組まれ642バンドが出演し、2日間で63万人を集客する世界有数の規模を誇る市民手作りの音楽のお祭りだ。音楽ではないがお隣の静岡市で開催される「大道芸ワールドカップin静岡」は14回を数え、期間中200万人超の観客と1,000人の市民ボランティアが活躍する県下最大級のイベントに成長した。共に中心街をイベントステージとし、プロからアマまでの出演者と観客の距離感が近いコミュニケーションがあり、もちろん無料だがカンパや投げ銭での協力があり、実行委員会形式の市民主導の運営(行政、企業支援型)、ボランティアによる市民参加が基本だ。であるならば、浜松市の楽器製造で培った音楽に関わる人や団体、企業の集積、行政の理解と市民のボランティア精神があれば、きっと世界規模の音楽イベントが開催できる。「ハママツ・ワールド・ストリート・ミュージック・フェスティバル」なんてどうだろう。世界、全国から浜松に集まったプロアマ、ジャンルを問わない音楽演奏家が浜松の中心街を音楽で溢れさせ、それを浜松市民がしっかりとサポートする。世界、全国から浜松に集まった大の音楽好きが、浜松市民といっしょになって音楽の街の素晴らしさに感動する。夢のような時を是非築こう!

※このエッセイがきっかけとなって、やらフェス開催のための実行委員会活動がスタートしました。
浜松市は平成19年4月に全国16番目の政令指定都市となる。多くの財源と権限を県から引継ぎ、自主独立性の高い大都市の仲間入りをするわけだ。人口は約82万人で全国15位、面積は全国2位、製造業出荷額全国 位、農業生産額全国 位、温暖な気候で東海道の要所のひとつとして地理的にも恵まれ、交通網も発達した全国屈指の大都市である。
だからこれからも浜松市の未来は明るい、と言ってしまいたくなる。がそうでもない。中心市街地の衰退、工業生産拠点の海外流出、都市間競争の激化など、都市としての魅力や存在意義、ブランドが問われ始めている。浜松市は非県庁所在地で、テレビ、新聞社の本社も無く、プロ野球、Jリーグのチームも所有しない、全国的にはネットワークから外れた、知名度の低い一地方都市にすぎない。“顔の見えない大都市”が現在の浜松市の姿なのだ。これでは人もモノも金も集まらない活力の無い都市になってしまう。早急に浜松市の魅力ある顔づくりが必要とされているのだ。
●キャッチフレーズだけじゃあダメ。
楽器製造を地場産業とする浜松市は、「楽器の街から音楽の街へ」
を合言葉に、大規模な音楽施設の整備や音楽事業を開催してきた。その象徴がアクトシティ浜松であり浜松国際ピアノコンクールだったりする。では、それによって浜松市は本当の意味で“音楽の街”になったのであろうか。そもそも音楽の街というものには尺度が無い。音楽聴取者数、演奏家数、ホール数、コンサート数は東京の方が圧倒的に上だ。「音楽の街浜松」はあくまでもキャッチフレーズとして存在するだけで、浜松市民はもちろん日本国民が「浜松と言えば音楽」と実感し認めているわけではない。それは、永年浜松市が“文化不毛の地”と言われ続けて来たことが証明している。全国区で多くの人が知り得る著名な音楽家やアーティストの輩出、大規模音楽イベントの開催、それを支えるライブハウスや楽器店、行政、企業、市民の結集が見られないのだ。年に1度でも全国から浜松に音楽好きが大挙して集まり、街じゅうが音楽で溢れ、多くの浜松市民が音楽の素晴らしさ実感でき、音楽によってこの街を誇りに思えるような、そんな“音楽の何か”が足りないのだ。
●63万人集まる定禅寺ストリートジャズフェス
仙台市で毎年9月に開催される「定禅寺ストリートジャスフェスティバル」は昨年第15回目が開催され、街の中心街に80ものステージが組まれ642バンドが出演し、2日間で63万人を集客する世界有数の規模を誇る市民手作りの音楽のお祭りだ。音楽ではないがお隣の静岡市で開催される「大道芸ワールドカップin静岡」は14回を数え、期間中200万人超の観客と1,000人の市民ボランティアが活躍する県下最大級のイベントに成長した。共に中心街をイベントステージとし、プロからアマまでの出演者と観客の距離感が近いコミュニケーションがあり、もちろん無料だがカンパや投げ銭での協力があり、実行委員会形式の市民主導の運営(行政、企業支援型)、ボランティアによる市民参加が基本だ。であるならば、浜松市の楽器製造で培った音楽に関わる人や団体、企業の集積、行政の理解と市民のボランティア精神があれば、きっと世界規模の音楽イベントが開催できる。「ハママツ・ワールド・ストリート・ミュージック・フェスティバル」なんてどうだろう。世界、全国から浜松に集まったプロアマ、ジャンルを問わない音楽演奏家が浜松の中心街を音楽で溢れさせ、それを浜松市民がしっかりとサポートする。世界、全国から浜松に集まった大の音楽好きが、浜松市民といっしょになって音楽の街の素晴らしさに感動する。夢のような時を是非築こう!
Posted by 鈴木建也(すずきたつや) at 20:04│Comments(0)
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