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2009年12月27日

随筆「すごいぞ!浜松の鈴木サン」

浜松百選2009年6月号掲載
随筆「すごいぞ!浜松の鈴木サン」

 鈴木さんは、全国に約200万人、静岡県に198,200人(県民の4,7%)で実に20人に1人が鈴木さんで堂々の全国1位。世帯数は47,242軒で全国の鈴木家の11.9%が在住する。浜松市は56,000人(市民の7.2%)で多分全国1位、さらに市内最高の鈴木さん密集地、浜松市西区篠原町は9,666人中3,326人(34.4%)が鈴木さん。さらにさらに、篠原西自治会は1,023世帯中532世帯(52.0%)が鈴木さんで、自治会内の或るお寺の檀家約200軒中8割が鈴木さんとのこと。

 「鈴木」は祭礼の際に田に指す神木のこと、刈田に積まれた稲穂のことで稲作にまつわる祭礼に縁の深い姓である。巫女さんの持つ神楽鈴、神社の縄についた鈴も同形で稲穂を意味する。鈴は神の宿るところ、実がなるところ。稲妻は稲魂のことで、天から神が降臨すること。雷は田に雨を降らす前触れ。植物のススキは月見に用い農作物の豊穣を願い、稲穂と同形のもの。濯ぎ(すすぎ)、涼しいは、清い、聖(きよし)の同類語。魚の鱸(すずき)は神の宿る魚と言われる。神の宿る植物としては、柳はアイヌ語で「ススニ」。竹(笹・篠)のサラサラの音は聖なる響き、鈴の音と同類。神楽鈴の代用として使われる。

 「鈴木」は古来熊野信仰と関係が深いといわれ、熊野地方(和歌山県)は平安期より「熊野三党」鈴木、榎本、宇井が支配したといわれる。全国に熊野神社は約3200社あり、鈴木一族が神官を務め広めたとされ、太平洋側の海上交通に使ったために太平洋側、東日本に鈴木姓が多い(1位静岡、2位東京、3位愛知)。和歌山県海南市の藤白神社の神官の鈴木氏は全国鈴木家の総本家。隣接して「鈴木屋敷」がある。イザナギノミコトから始まり鈴木重吉氏まで122代続いたが、1942年に病死、子がなく断絶した。鈴木家は代々、武将の家臣となるものが多く、源義経-鈴木重家、織田信長-鈴木孫一、豊臣秀吉-鈴木重朝、徳川家康-鈴木重時・重好、等の名があり、「重」は鈴木家の本家筋を表す。海南市は“鈴木氏発祥の地”をうたい、「藤白鈴木会」は藤白神社の宮司が発足した会で、「全国鈴木サミット」を主催する。

 「古事記」「日本書紀」によるイザナギノミコトとイザナミノミコの夫婦の子であるアマテラスオオミカミ(天照大神)は伊勢神宮の祭神、スサノオノミコトは熊野三山の祭神。「熊野=神の」であり、熊野詣、熊野権現はまさに神に会いに行くこと。熊野信仰は、稲作民俗信仰であり、天皇から一般の民までが詣でることとなる。一方、全ての人々が熊野詣をできないことから、神を祭る長、米の豊穣を約束する天皇の代行者として神主である鈴木氏が熊野神社を全国に広めた。初代神武天皇が鈴木の名付けとも言われる。

 浜松市内にも熊野神社は多数ある。「増楽熊野神社」は、旧可美村増楽にあり、「可美=神」でもあり、場所は可美中学前、東海道沿いのスズキ株式会社本社入り口にある。スズキの社長はご存知のとおり、鈴木修。浜松市の現市長は鈴木康友。浜松出身の作家に鈴木光司、歌手に鈴木重子、女優に鈴木砂羽、プロ野球の鈴木尚典がいる。
 
 篠原町は旧浜名郡篠原村で、浜名湖今切れ口付近に漂着した鈴木氏が、東岸の笹の原(篠原)を刈り、田をつくり住んだ村とされている。篠原町東には神明宮、西に西神明宮(祭神天照大神)、その間には八坂神社(祭神スサノオ)があり、熊野神社の系統。篠原東の本村の旧家鈴木家は、源義経に家臣鈴木重家の子重信が篠原鈴木の始祖と伝えられ、子孫の重尚が1411年に当地を開墾したとも言われる。筆者(鈴木姓)の実家は旧地名「篠原村字権現」にあり、現在は自治会名となる権現組は48世帯中39世帯が鈴木さん。さらにその中の権現組東班は11世帯中10世帯が鈴木さんで、その内の一軒が我が実家ある。近くには「蔵王権現社」が奉られている。

日本人が日本人たるゆえんである天皇崇拝、稲作文化の支柱に鈴木さんはいる。「鈴木なんて姓はどこにもたくさんあってさぁー・・・」「俺、苗字でなかなか呼ばれたことなくてさぁー・・・」ってな具合で、少しばかり鈴木姓に少し劣等感を持っている浜松の鈴木さんよ、「鈴木」を誇りましょう!

※平成22年1月に「浜松鈴木さん楽会」を設立準備中です。詳しくは追ってご案内いたします。


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Posted by 鈴木建也(すずきたつや) at 09:48│Comments(0)エッセイ・寄稿
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